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2022年 フィナンシャルアドバイザー(FA)ランキング

2022年において日本企業関係するM&Aにかかわったフィナンシャルアドバイザー(FA)のランキングがREFINITIV(旧トムソン・ロイター)より年初に公開されていますので、概要を解説します。

以前の記事においては、Bloombergの公表データを参照しましたが、今回はREFINITIVを用いています。REFINITIVEも旧トムソン・ロイターというメディ企業であり、このランキングはBloombergと並んでFA業界では最も広く用いられているデータとなりますので、ほぼ同様のものと考えて頂くことで差し支えありません。

なお、M&A仲介企業はFAランキングにおいては登録がなされておらずランキング入していませんが、実際には大手M&A仲介企業は本来ランキングされるべき位置にいるといえますこれは、 M&A仲介はFAではないという業界の慣行によるものと考えられますが、日本市場の特殊な部分であるといえます。

取り扱い案件数に基づくランキング

2022年のランキングと、2022年に上位にランクされているFA企業の2021年の取扱件数を以下の表で比較しています。なお、2021年の件数の右のカッコ書きの数値は2021年のランキングです。

2022年の取り扱い案件数別ランキングを見ると、順位間での変動はあるものの上位10社の顔触れは全く変わっていないことが見て取れます。

概ね大手会計事務所、特にデロイトが案件数を大きく伸ばしており、逆に国内金融機関系列のファームは軒並み微減傾向にあることが見て取れます。

市場全体での案件数も1割程度減少しており、国内金融機関系列は市場の減少に沿って取り扱い件数を下げたもののプロフェッショナルファームとしての大手会計事務所が自社で有するコンサルティングや会計サービス等の総合力を用いて案件を獲得することができていると考えられます。また、後述しますが、2022年は大型案件が減少し、中規模案件が相対的に多かったことも影響しているでしょう。

 また、2021年に大手ブティックM&AファームであったGCAがフーリハン・ローキーに買収されていますが、買収後も件数を変わらず伸ばしており成功したM&Aであったことも見て取れます。

2022年の取り扱い案件数別ランキング

順位 FA企業 2022年案件数 2021年案件数
1 デロイト 127 86(5)
2 みずほFG 117 128(2)
3 三井住友FG 112 142(1)
4 野村 95 104(3)
5 KPMG 86 91(4)
6 PwC 84 68(6)
7 フーリハン・ローキー 58 52(9)
8 プルータス 54 65(7)
9 大和証券 47 60(8)
10 三菱UFJMS 40 52(9)
  市場合計 4,551 4,963

取り扱い案件規模に基づくランキング

2022年のランキングと、2022年に上位にランクされているFA企業の2021年の取扱規模を以下の表で比較しています。なお、2021年の件数の右のカッコ書きの数値は2021年のランキングです。

2022年の各FA企業の取り扱い案件規模を見た場合、ほぼすべてのFA企業の取り扱い案件規模の合計値が減少している(三井住友FGを除き)ことが分かります。特に、外資系投資銀行では本年大躍進をしているUBSを除き取り扱い規模の下落は著しいです。

2021年には日立製作所の上場子会社である日立金属の売却、MUFGによる米国商業銀行ユニオンバンクの売却、日立製作所とパナソニックの大型米国買収といった5,000億円を超える大型M&Aが複数成立したものの、2022年の5,000億円を超える案件は武田薬品工業のニンバスの買収と、日立製作所の日立物流の売却案件にとどまり、それ以下は若干規模感が落ちる成約案件であったためといえます。

このため、ほぼ大型案件にだけリソースを割いている外資系投資銀行は軒並み低調となり、逆に中規模案件に従来よりフォーカスをしていた国内金融機関と大手会計事務所であるデロイトが健闘をしたといえます。

2022年の取り扱い案件規模別ランキング

順位 FA企業 2022年 案件規模 2021年 案件規模
1 三菱UFJMS 36,521 59,508(2)
2 野村 27,435 32,627(5)
3 三井住友FG 24,208 17,452(9)
4 UBS 20,866 2,467(23)
5 JPモルガン 19,849 37,044(4)
6 みずほFG 19,436 20,554(8)
7 ゴールドマン・サックス 17,394 60,098(1)
8 BofA 12,985 51,613(3)
9 デロイト 12,450 5,264(16)
10 エバーコア 8,996
  市場合計 157,795 210,822

2023年の見通し

2023年も2022年の流れは大きく変わらないものとみられています。特に、不透明な金融環境により海外におけるM&Aが停滞気味であることと、日立製作所をはじめとした大手企業による大型の事業売却・ポートフォリオ選別に一段落がついたことから、大型案件成約可能性はより縮小気味となることが想定されます。

他方、大手企業から中堅企業に至るまで中規模の事業資産の入れ替え(買収、売却共に)は、現在の景況感の中でより加速するというコンセンサスが形成されてきています。このような中で、中規模案件かつ海外企業の関係するクロスボーダー取引へのアドバイスを取り扱うことに長けている大手会計事務所、独立系のブティックM&Aファームの活躍が2023年にはより目立ってくるのではないかと想定されます。

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