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2025.10.06

【Webinar Report】なぜFA×戦略コンサルティングによる”統合支援”がM&Aを成功に導くのか #1

当社は2025年8月、「なぜM&Aの成功に”統合支援”が必要なのか」というテーマでセミナーを開催しました。当日ご参加いただけなかった方や、当社がご提供する”統合支援”についてもっと知りたいという方に向けて、当日の内容を2回にわたりレポートいたします。ぜひご一読ください。  

                        

■セミナーの概要

企業戦略の重要な選択肢として、近年M&Aの検討がますます活発化しています。一方で、M&Aのリスクや失敗要因として、戦略の欠如、高値掴み、PMIの不十分さ等が指摘されており、各フェーズで適切な準備と体制整備が求められます。特にM&A戦略策定、ロングリスティング、PMI等において、一貫した方針や戦略に基づいた実行と体系的な支援が重要です。
このような課題に対して、当社では、FAと戦略コンサルティングを連携させた”統合支援”をご提供しております。具体的な事例をご紹介しながら、企業のM&Aを成功に導く要因を紐解きつつ、M&Aに際する当社の一気通貫のサポートについてお話しします。

1. M&A市場の現状と課題

渡邉:M&A市場は成長期を迎え、M&A件数が大幅に増加しており、M&Aに関する情報やバリュエーションの手法といったノウハウも定着してきていると認識しています。今後もM&Aは企業戦略の重要な選択肢の一つとして活用され続けることが見込まれます。
一方で、当然ながら、M&A後にうまくシナジー効果を発揮することできずには減損に至るような可能性もあります。単に買収を実行するだけでなく、買収後にどのように統合を進めバリューアップを図るかも非常に重要です。そのためには、M&Aの各フェーズにおいて戦略と実行の一貫性が求められます。

2. M&Aの成功を阻む要因

M&Aが成功しないケースにおいて、主な要因は3つあると考えています。1つ目は戦略検討フェーズにおけるM&A戦略の欠如、2つ目はエグゼキューションフェーズにおける高値掴み、そして3つ目はPMIフェーズでのシナジー実現不足だと整理しています。

まず①戦略検討フェーズにおけるM&A戦略の欠如についてですが、これはそもそも自社の成長戦略が定義できていない、事業領域をどう深掘りしていくかの整理ができていない、あるいは長期戦略に基づかず、案件ベースの短絡的な対応をしてしまう、などの状況が挙げられます。また、これは次の②にも関わってきますが、社内でM&Aを検討するチームがなかったり、そういった体制が整備されていないということが問題の背景となっているケースもあります。

続いて、②エグゼキューションフェーズにおける高値掴みについては、基本的なデューディリジェンス(以下「DD」)のナレッジ不足やシナジーの検討不足が原因となっていると考えられます。具体的にはまず、財務や法務といったテクニカルな側面も含め、適切なバリュエーションを検討し、リスクを検出した場合には契約書等で手当てを行うといったことに対して基礎的なナレッジが整備されていないといった点があります。また、シナジーに関する仮説検証が甘くなってしまい、結果として高値掴みが起きる、ということになります。

加えて、足元のM&A市場の活況を鑑みると、これまでM&Aを行ってきていない企業においては特に、自社にグループインしてもらうための自社ブランドやカルチャー、シナジーの訴求をしっかり行うという点も、エグゼキューションフェーズにおいて重要なポイントとなります。
さらに、③PMIフェーズでのシナジー実現不足は、対象企業とのすり合わせやモニタリングが十分でないことが問題となります。具体的には、シナジーについてのディスカッションを対象会社と行えていない、すり合わせができていないということ、加えて、買収後に買収先企業をそのまま放置していて、定性・定量的なモニタリングがしっかりできていないという点が挙げられます。

総括しますと、戦略検討フェーズ、エグゼキューションフェーズ、そしてPMIフェーズにおいて、いずれもしっかりと準備・検討できる体制を整備するということと、自社の中長期的な成長戦略を整理した上で一つの選択肢としてM&Aを活用していくということが重要であるといえます。

3. FAと戦略コンサルティングのM&Aにおける役割

このようなM&Aのプロセスにおいて、外部支援サービスとしてFAと戦略コンサルティングがどういう役割を担っているのかということをご説明します。
まず上段では、各M&Aのフェーズとプロセスを整理しています。Pre-M&Aフェーズでは、戦略立案やロングリスティングエグゼキューションフェーズの前半では、いわゆる初期検討、バインディングの入札書を出すという段階、後半ではDDを実施して、具体的に契約書に落とし込み交渉を行う段階、そして買収後に、PMIとしてバリューアップを図りシナジーを出していくというところがあります。

Pre-M&Aフェーズにおいて、FAでは過去案件の整理や買収目的の明確化、基準設定、ロングリスティングされた企業のアクションアビリティを確認します。戦略コンサルでは、業界分析、初期的な全社戦略とのシナジー検討を行ったうえで、どういうところにアプローチするべきなのかといった戦略策定を行い、具体的なロングリスティングの中で候補選定を進めます。
エグゼキューションフェーズの前半では、FAは実際にアドバイザーとして対象会社にコンタクトを行い、交渉します。戦略コンサルサイドでは、Pre-DDのような形で初期的なフィージビリティスタディを行ったり、シナジーの分析、戦略との整合性を確認していきます。

エグゼキューションフェーズの後半では、ディールプロセスに入りますので、DDが始まり、FAとしては全体のプロセスコントロールを行います。戦略コンサルも、ビジネスのDDを行いながら、シナジーに基づいたバリューアップ仮説を構築していきます。また、この段階で、買収後にどのようなPMIを実行していくかという計画の策定を行います。

最後にPost-M&Aフェーズでは、経営・組織・事業の統合(=PMI)を行います。このように、各フェーズにおいてFAと戦略コンサルで役割を分けつつ、双方がM&Aに関わっています。

4. FA×戦略コンサル=”統合支援”とは

そのような中で、次に本セミナーのタイトルにもある「FA×戦略コンサル=”統合支援”」というお話をさせていただきます。どのようにFAと戦略コンサルがコラボレーションしながらクライアントに対して価値を貢献しているのかについて、こちらのスライドでまとめております。

従来ですと、案件・プロジェクトごとの戦略検討やM&Aのエグゼキューションにおけるご支援の形が一般的ですが、”統合支援”では、クライアントとより長期的なリレーションシップを構築し、中長期的な企業価値向上を目指して必要な戦略策定や施策の実行において伴走します。

また、先ほどフェーズごとにFAと戦略コンサルの役割分担を示しましたが、”統合支援”では各領域のプロフェッショナルがコラボレーションしてワンチームとなり、クライアントに一気通貫のサービスを提供します。個人の機能に加えて、高い精度での全体コントロールは求められますが、シームレスな支援によってクライアントにより高い価値をもたらすことができると考えます。

さらに、Pre-M&AフェーズでロングリスティングやM&Aの戦略検討を行った後、それを引き継いでアドバイザーがロングリスティングに沿ってM&Aを実行するというのが典型的なパターンである一方、戦略策定を行いながら同時にディールを実行するということも起こりえます。あるいは、案件ベースで戦略を柔軟に変えていくということもあり得ます。このような場合、FAと戦コンサルティングのシームレスな連携ができる”統合支援”であれば、戦略とM&Aを同時並行で、かつスピード感をもって進めることが可能となります。

最後に、短期・案件ベースでのナレッジ提供が従来の支援の形である中で、新たにM&Aを実行する企業において、単発ではなくナレッジをしっかり移植し、自社内のチーム構築もサポートして内製化の仕組みを整えることができる、という点も”統合支援”のベネフィットだと考えています。

もう少し具体的かつ概念的なご説明をお示しします。左側では、クライアントの事業戦略の全体像や、各事業部門の実態を理解し、その上でM&A戦略を中長期的に立てていくことを表現しています。

右側に関しては、先ほどご説明させていただきました通り、各プロセスにおいてFAと戦略コンサルが連携することによって、シームレスにかつスピーディーに、付加価値を創出しながら案件を実行していくということができるということを整理しています。

後半では、具体的な連携事例も含めながら、松元からお話をさせていただきます。

■登壇者

渡邉 拓也 | ゼネラル・マネージャー
GCA(現フーリハン・ローキー)、オリックス事業投資部門を経て、GIPに参画
GCAではM&Aアドバイザリーを主とする投資銀行業務、オリックスでは事業投資部門でのPE業務に従事し、国内外のM&Aから中小企業の事業承継まで幅広く対応。投資先の社外役員として常駐し、ハンズオン形式でPMI及びバリューアップを主導する等、戦略立案から現場レベルの施策実行支援の経験も有する
東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻修士課程 修了

松元 英信 | 戦略コンサルティング責任者 
三菱総合研究所を経て、GIPに参画
三菱総合研究所では、戦略コンサルタントとして、経営ビジョン・中期経営計画策定、事業戦略策定、M&A戦略策定、ビジネスDD、組織再編・組織設計、人材マネジメント方針策定、といった経営戦略、組織・人材戦略の支援実績を有する
東京大学大学院経済学研究科修士課程 修了



GIPは、M&A・事業再編等の変革局面にある企業に対して、FAと戦略コンサルティングを連携させた”統合支援”をご提供しております。
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